コラム October 12, 2020

【意外と知らない睡眠と記憶の関係】深い眠りを得れば記憶力アップ?

「最近、記憶力の低下がひどく、新しいことが覚えられなくなってきた」
このようなお悩みを抱えている方は、睡眠に問題が発生しているかもしれません。

本記事では、情報がどのような流れで記憶として定着されていくのか、そのメカニズムをわかりやすく解説していきます。

脳の記憶は2段階で処理される

わたしたちが得るさまざまな情報は、パソコンのメモリのようにはたらく脳の「海馬」という部分で、一時的に記憶されます。
ただし、海馬に蓄積された情報は、時間の経過とともに失われていくんですね。

そこで、脳は必要な記憶を「大脳」に移動させて、後の生活に役立つ知識へと変換し、勉強や仕事の効率アップにつなげます。
この大脳での記憶処理が行われるのが睡眠中で、眠りの深度が高まるほど、記憶の定着力は向上するのです。



逆に、慢性的な睡眠不足に陥っていたり、中途覚醒を起こして夜中に何度も目が覚めたりすると、大脳のはたらきが低下して記憶力もダウン。
冒頭でお話ししたように、新しいことが覚えられないとか、物忘れが激しくなるといった症状が出るんです。

睡眠は嫌な経験を消去してくれる

睡眠と記憶の関係で、もう1つ覚えておきたいのが、脳には“マイナスの経験は消去する”というはたらきもあることです。
仕事や家庭で発生した嫌な出来事は、脳の休息が進む深い眠り(ノンレム睡眠)を得ることで消去されます。

寝る前までは気分がモヤモヤしていたのに、朝起きたらスッキリしていて、気持ちが上向いたという経験は、皆さんにもあることでしょう。
このような睡眠を得ることが、仕事や家事の効率アップや新しいアイディアのひらめき、やる気の上昇などにつながるのです。



忙しい生活を送っていると、わたしたちは睡眠の重要性を軽視してしまう傾向にありますが、
「グッスリ眠ることが生活の質向上につながる」
という事実を再認識して、まずは睡眠不足を解消しましょう。

さらに、機能性が高い寝具を使うなどして、深い眠りを得るための快眠環境を整えることを検討してみてください。

(監修:精神科医・内科医 豊田早苗医師)