コラム December 26, 2019

コーヒーで眠気覚ましは危険?難しい神経の仕組みをわかりやすく解説!

睡眠不足が続くと、朝起きるのがおっくうになりますし、日中も家事や仕事が滞りがちになります。
こんな時に役立つのが、カフェインがたっぷり入ったコーヒーですね。

しかし、コーヒーに頼りすぎて睡眠時間を削った生活を続けていると、脳内に疲労物質がたまって、命に関わる病気リスクが高まるんですよ。

起きているとたまる睡眠物質とは?

わたしたちが起きている間は、脳内に「プロスタグランディンD2」という睡眠物質がたまっていきます。
この物質は、脳を覆っているくも膜にはたらきかけて、「アデノシン」に変換されるんですね。
そして、脳を強く覚醒させる「ヒスタミン」の分泌を抑えるため、次第に眠気を感じるようになるというワケです。

ちなみに、鼻炎の薬を飲むと眠くなりますが、これは成分に抗ヒスタミン剤が配合されているからで、アデノシンの作用と同じように脳の覚醒度が低下していきます。

さらに、アデノシンは心身を弛緩させるアミノ酸である「GABA」を増やし、わたしたちに休息を促すのです。

GABAは、そのリラックス作用が注目されていて、チョコレートやジュースなど、さまざまな食品に配合されていますね。
コーヒーに含まれているカフェインは、このアデノシンがGABAを増やすプロセスをブロックして、脳の覚醒状態を維持しているんです。

カフェインでは脳の疲労物質は排出できない

このメカニズムを知ると、睡眠不足でもコーヒーで乗り切れるものと考えてしまいがちですが、カラダやココロの疲労は残ったままです。

さらに、注目したいのは、「アミロイドβ」というたんぱく質の存在。

こちらも起床時に脳内で蓄積していくのですが、睡眠をしっかりとることで排出されるんです。
ところが、睡眠不足が続くと脳にとどまって細胞を破壊していき、認知症を招くことも。

ちょっと、難しい話になってしまいましたが、
「カフェインでは、眠気の発生をごまかすことはできても、疲労物質は洗い流せない」
ということです。

眠気をコーヒーで覚ます習慣がある方は、睡眠不足も解消されると錯覚してしまう傾向にあります。

アミロイドβによる脳のダメージは、40代からたまっていきますから、カフェインに頼る生活は1日でも早く改善して、適切な睡眠時間を取るようにしましょう。

寝心地バツグンのマットレスなどを手に入れて、睡眠環境を整えれば、寝るのが楽しみになって、自然と睡眠時間が増えるかも!?

(監修:精神科医・内科医 豊田早苗医師)