コラム June 06, 2021

【睡眠への影響を再認識】コロナ禍におけるお酒との正しい付き合い方とは?

(本記事は2021年5月15日に執筆しています)

本コラムでも再三にわたって、寝酒は睡眠に"百害あって一利なし"とお伝えしてきました。
しかし、コロナ禍の収束が見えず、飲食店は時短営業を余儀なくされ、ステイホームで自宅にいる時間が長くなっているなか、お酒を飲んでストレス解消することも必要でしょう。
そこで今回は、睡眠に影響を与えない健康的なお酒の飲み方を解説していきます。
心身の健康を保って免疫力を向上させるためにも、お酒好きの方は自分の飲み方を見直す機会にしてみてください。

寝酒がNGの理由をおさらい!

お酒を飲むと筋肉が弛緩し、気分もリラックスして眠くなりますよね?
これは、カラダ全体に生命活動の指令を送る中枢神経のはたらきが、アルコールによって鈍くなり「催眠作用」が発生するからです。
しかし、お酒で寝付きがよくなっても、眠りは深くなりません。
カラダの疲労を回復させるレム睡眠の割合は増えますが、大脳を休ませる深い眠り「ノンレム睡眠」は減ってしまうため、翌朝目覚めた時に寝た気がしないと感じるのです。
また、アルコールの分解時に体内の水が使われることで喉が渇いたり、利尿作用も強くはたらいてトイレに行きたくなったりして、夜中に目が覚めてそのまま眠れなくなってしまうことも。
このような睡眠を繰り返すと睡眠の質はどんどん悪化して免疫力の低下を招き、さまざまな病気リスクが高まります。
さらに、お酒を飲む頻度が高くなると酔って気分がよくなるまで時間がかかるようになり、自然と飲酒量が多くなって、肝臓や脳などのダメージが増加していくこともあるのです。

睡眠への悪影響を抑えて楽しく飲む方法

アルコールが快眠を妨げることは理解できても、大好きなお酒を我慢するのはストレス増加につながります。
そこでみなさんにおススメしたいのは、睡眠への影響を最低限に抑える飲み方です。
まずは、アルコールの分解を促すために、お酒と一緒に水を飲むようにしましょう。
お酒と同量の水を飲むことで、体内の水分不足も防げます。
ただし、お酒の量が増えれば水の量も増えてしまい、これが睡眠中の尿意発生につながってしまうことは言うまでもありません。
飲酒量はほどほどに(ほろ酔い程度)することが、快眠を守ることと心得てください。

次に注目したいのは、お酒に含まれるアルコールの度数です。
アルコールの量が多ければ多いほど、体内で分解する時間が長くなりますから、必然的に眠りが浅くなります。
強いお酒を楽しむなら、飲む量を減らすと同時に、なるべく早い時間に切り上げることが重要です。
最近は、アルコール度数が高い缶チューハイに人気が集まっていますが、おいしくて飲みやすいが故に何本も空けてしまいがちです。
こうなると、アルコールへの依存が加速してしまうリスクが高まりますから、お酒を買うときはアルコール度数にも配慮してください。
ストレス過多で飲まないと落ち着かないという場合は、ノンアルコールタイプのビールやワインを選ぶのも1つの手です。
いずれも、お酒とそん色のないのど越しの良さや、うま味を楽しめる商品が発売されていますので、ぜひ、試してみてください。

コロナウイルスの影響で、今後も息苦しい生活が続くことが予想されるなか、ストレスをうまくコントロールしないと免疫力が低下して、さまざまな病気リスクが高まります。
このようなトラブルを避けるためにも、本記事でお伝えしたお酒との付き合い方を理解して、健康的で楽しいお酒を満喫する時間を過ごしてください。

(監修:精神科医・内科医 豊田早苗医師)