コラム November 24, 2022

簡単な習慣で快眠体質に!よく噛んで食べることのメリットとは?

「食事はよく噛んで食べなさい」
誰もが子供の頃に親から言われたことですが、みなさんは大人になった今も実践していますか?
スマホを片手に"ながら食い"をしたり、忙しいからと早食いをしたりして、噛むことがおろそかになっているのではないでしょうか。
実はよく噛んで食べることは、食べ物の消化に良いだけでなく、睡眠の質の向上にもつながるんです。
では、そのメカニズムを解説していきましょう。

繰り返し噛むことでセロトニン神経を活発に!

みなさんは、3大神経伝達物質の1つである「セロトニン」のはたらきをご存じですか?
セロトニンは朝日を浴びると分泌され、夜になるとメラトニンに変換されて眠気をもたらせてくれるホルモンです。
この睡眠に欠かせないセロトニンは、脳幹にあるセロトニン神経から分泌されるのですが、分泌量を増加させるには、その神経の働きが活発になる必要があるんです。
方法はとっても簡単で、「繰り返し噛むこと」。
東邦大学の有田教授による実験では、被験者に20分間ガムを噛み続けてもらったところ、脳のセロトニン神経が活性化されて、血液中のセロトニン濃度が増えたという結果が出たのです。

さらに、セロトニン神経はリズム運動(同じ動きを繰り返す運動)を行なうことで、活性が促されることもわかりました。
このような結果から、日常生活で一番取り入れやすいリズム運動として有田先生が推奨しているのが、「噛む」という行為なんです。
食事の時に意識して1口30回くらい噛むようにすると、セロトニンがしっかり分泌されて自律神経が整い、メラトニンの正常分泌につながってスムーズに入眠することができますよ。

セロトニンの分泌が少なくなると高まるうつのリスク

"幸せホルモン"とも呼ばれるセロトニンは、その分泌が多くなるとポジティブな気持ちになったり、頭がすっきりとして目覚めが良くなったりします。
逆に、セロトニンの分泌が少なくなるとメラトニンの分泌量が減り、寝つきが悪くなるなどの不眠症状を引き起こしやすくなるんです。
そのうえ、気持ちも沈みがちになり、不安が高じてうつ状態を招くことも。
セロトニンが少なくなる原因は、睡眠不足やストレス、不規則な生活、食生活の乱れなどが挙げられます。
こうしたトラブルは改善に時間がかかりますが、よく噛むことは今日からでも始めることができます。
質の良い睡眠を得るだけでなく、日常をポジティブな気持ちで過ごせるよう、繰り返し噛むということを忘れないようにしてくださいね。

(監修:精神科医・内科医 豊田早苗医師)