コラム July 25, 2023

早食いは不眠を招く?よく噛んで食べる習慣が快眠につながる理由とは?

みなさんは食事のとき、食べ物をしっかり噛んでいますか?
仕事や家事に追われて忙しい毎日を送っている方は、食べ物を噛む回数が少なく、早食い傾向にあるのではないでしょうか。
しかし、このような食事を続けていると太りやすくなるだけでなく、睡眠にも悪影響を及ぼします。
本記事で「よく噛んで食べる」ことの重要性を再認識して、睡眠の質を向上させましょう。

噛むことで心身のリラックスが促される

口周辺にはさまざまな神経がはりめぐっていて、食べ物を噛むとその刺激が脳に伝わります。
これによって、恐怖や不安といった感情をコントロールする扁桃体が活性化し、大脳に「不快だ」という信号が伝わりにくくなるため、ストレスを感じにくくなるんですね、
さらに、心身を安定させる脳内物質「セロトニン」の分泌量が高まりますから、ちょっとしたことでもイライラしなくなったり、自律神経が乱れにくくなったりします。

ちなみに、自律神経には脳などの動きを活性化する交感神経と、心身を休息させる副交感神経の2つあり、寝る前は副交感神経が優位になるのです。
自律神経の切り替えがうまくいかないと寝つきが悪くなるうえに、眠りも浅くなるのですが、噛むという行動をしっかり行なうことで、副交感神経がしっかり働きます。
よく噛んで食べると睡眠の質が上がると言われているのは、カラダにこのような仕組みがあるからなんです。

夕食はさらに意識してよく噛んで食べる!

よく噛んで食べる習慣は、3度の食事すべてにおいて重要ですが、夕食時は咀嚼回数をさらに多くするようにしてください。
食事をすると、レプチンというホルモンが分泌されて胃腸が活性化して消化活動が行われます。

しかし、眠りについた後も胃腸が動いているとカラダや脳の休息が進まず、眠りが浅くなってしまうのです。
したがって、夕食は消化の良い食べ物を選ぶと同時に、噛む回数をさらに増やすようにしましょう。

さらに、消化の良い食材を選び、油分の多い食べ物を避けるようにすれば、なおよしです。
夕食を摂る時間の目安は、布団に入る3時間前です。
残業などで帰宅時間が遅くなる方は、夕方に軽食を食べて、夕食は少量にするようにしてみてください。
これからさらに気温が上がると、体力がどんどん奪われて免疫力も低下しますから、食事の工夫で質の高い睡眠をとるようにしましょう。
毎日深い眠りが得られれば、猛暑が予想される今年の夏も乗り切れますよ。

(監修:精神科医・内科医 豊田早苗医師)