コラム December 22, 2019

ホットミルクで快眠はできない!寝る前の牛乳で眠りが浅くなる?

昔から、寝る前のホットミルクは快眠につながると言われてきましたが、実は間違った常識だということ、みなさんはご存知ですか?

カラダを温めるために飲んでいる方も多いと思いますが、朝起きた時の気分が悪いとか、夜中に目が覚めるといった症状が出ていたら、見直しが必要ですよ。

寝るときは“内臓を休めるための空腹”が基本

わたしたちが毎日とる睡眠には、内臓の疲労を回復させる目的もあります。
胃や腸は、1日中消化・吸収のために活動していますから、寝ている間は活動を停止して、しっかり疲れを取らなくてはいけないんですね。

もし、胃に食べ物が残っている状態で寝てしまうと、睡眠中も活動が続いて内臓の疲れが増大してしまうばかりか、交感神経が活性化することで眠りが浅くなってしまうのです。
寝る前のホットミルクは、この時期のリラックスドリンクとしても人気ですが、液体である牛乳が胃に入ると、消化活動が始まってしまいます。

こうした理由から、ホットミルクは快眠につながるどころか、不眠を引き起こしかねないドリンクと言えるのです。

寝る前の牛乳で眠れるのは誤解?

それでは、なぜ、長年にわたって寝る前に飲む温かい牛乳が、快眠につながると言われてきたのでしょうか?
牛乳には、眠気を発生させるホルモン「メラトニン」の原料となる、「トリプトファン」という成分が豊富に含まれています。

この成分を摂ることによって、自然な眠気が発生すると考えられたため、「寝る前に牛乳を飲む習慣」が広がったと考えられます。

しかし、トリプトファンがメラトニンに変わるまでは、15時間ほどかかるのです。
つまり、牛乳を飲んですぐに眠気が発生することはありません。
ただし、温かいドリンクにはリラックス効果がありますから、中には眠気が発生すると感じている方もいるでしょう。

とは言っても、先ほどもお話ししたように、睡眠中に胃が活動すると睡眠の質が低下しますので、このような習慣がある方は、すぐに改善したほうが無難と言えます。

鎮静効果のあるハーブや、冷えを防ぐ成分が豊富な「ホット麦茶」などを、快眠ドリンクとして試してみてはいかがでしょうか?


(監修:精神科医・内科医 豊田早苗医師)